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アストロPのダンス作品に見るシンクロの方法論 下

JUGEMテーマ:THE IDOLM@STER

前回は、アストロPの動画におけるブレヒトの「異化効果」理論の影響と、
それがダンスPV作品においては素材を前景化することで
かえってキャラクターのリアリティを増していることを指摘しました。

しかし、そもそもそのように違和感・ノイズを逆用する演出は
多くの作品で使われているものであって、アストロPに話を限定するべきでしょうか。

実際、ソヴィエトの文学理論家シクロフスキーは主著「散文の理論」の中で
様々な物語の基本構造を異化技術によって説明しています。
アストロPの異化効果がブレヒト的なのは、
一般的な美的価値観とは対立する要素を用い、視聴者を挑発しながら、
新たな知的・情的な表現を開拓している部分だと考えています。

では、アストロP以外の作家は異化効果を用いていないのか。
それとも他の作家も応用可能な技法なのか。当ブログで以前紹介した名作を
もう一度この観点から見てみたいと思います。

【ニコニコ動画】THE iDOLM@STER HARUKA AMAMI THE DREAMING 【1M】


当ブログ過去記事 ⇒ タクヲP "THE iDOLM@STER HARUKA AMAMI THE DREAMING"

タクヲP、5月投稿の名作です(リンク先は再アップされた高画質版)。
プロデューサーと別れ、アイドルを続ける春香さんが
アイドルイメージと自分の感情との間で引き裂かれる衝撃的な内容の作品ですが、
それを表現するために用いられる様々なイメージが一元的に収斂されない。
一応演出は物語から逸脱せず、解釈のブレが生じる作品ではないのですが、
個々のイメージの豊かさが物語を圧倒し、寸断し、空虚化する。
それが春香さんの心情表現にもなっているわけです。

【ニコニコ動画】【みんな、しわっす!】 秋月律子 『聖書』 【アイドルマスター】


しおP。どうやら、律ちゃんがプロデューサーに恋していることが許せないファンがとうとう
(空想の中で?)プロデューサーになってしまうという病んだ内容なのですが、
この筋は原曲の歌詞を翻案したということでしょうか。
前半部分では上の写真のように明朝体の歌詞が大きく表示されます。
一般的に、歌詞はお洒落にレイアウトしないといやらしくなってしまう。
ところがここでしおPは、わざと明朝体の文字をべたべたと貼り付け、
律ちゃんの身体にまとわりつかせる。まるで語り手の視線が物質化したかのように。

上の二つの作品はどちらも写真に見るように「半歌詞残し」を用いていますが、
意識的にアストロPをリスペクトしたわけでは恐らくないでしょう。
両者とも表現のためにアイドルマスターMADの一般的な美的感覚とは異なる
ノイジーな技法を用いる必要に迫られた、その過程で
自然と歌詞が見え隠れするカットを使うこととなった、というのが近そうです。
そして、この二つの動画はどちらも、快適なダンスシンクロや派手なエフェクトを用いずに
アイドルマスターのキャラクターの身体・実体性をまざまざと感じさせてくれます。

■"メロディック妹メタル"、身体と無機質性の狭間

さて、次に現在ニコニコ動画上で投稿者削除され、youtubeでの転載版のみ確認できた
佐野倉Pの "メロディック妹メタル" を例に取ってさらなる考察に移るつもりでしたが、
本日確認したところ、youtubeでも削除されているとのことです。
"メロディック妹メタル"はシンクロとエフェクト、変拍子といった技術的な面に加え、
MADとアイドルの関係など、アイドルマスターMADの様々な問題が収斂された傑作でした。

本編が確認できないのでここでは筆者の意見のみに留めますが、
アイドルマスターのキャラクターは、現実と非現実の狭間、身体性と無機質の中間
(「不気味の谷」とも言えるかもしれません)で揺れ動くときに最大限に
リアリティを発揮するのではないか? そのような印象を
 "メロディック妹メタル" から受けたのですが、検証できないため議論は後日に持ち越します。
(なお、この動画では「半歌詞残し」はなかったように記憶しています)

■ノイズの介在、律ちゃんと春香さん

さて、このように異化効果の実例を見てきましたが、タクヲPとしおPの作例における
異化効果の方向性の違いが個人的には興味深いです。
タクヲPのノイズは、ファンの間でイメージが一人歩き・分裂している
春香さんの(ニコニコ動画上での)状況を捉えています。
律ちゃんはノイズをヴィジュアルに内包していると言えるかもしれない
(眼鏡、おさげ、フリップフラップ他)。
春香さんの人気の原因のひとつがイメージの多様性にあり、
律ちゃんがその眼鏡もおさげも含めてファンに愛されている
(勿論タクヲPの動画含め「本当の春香さん」へのアプローチはなされており、
眼鏡を取った律子を見たいというファンもたくさんいるわけですが)。
つまり、キャラクターの内面の魅力それ自体、異化によって生じている部分がある。
その異化の様相の違いが律子と春香にはあり、
それが動画表現の違いに現れているのではないかと考えましたが、
筆者はキャラクターのことをよく知りません。
どなたか詳しい方がテーマを掘り下げてくれないか……などと期待しております。

-

長くなりましたが、以上、アイドルマスターのダンスPVMADにおける
異化の技法について簡単にメモしました。
たまにはこんな視点で動画を見てみるのも面白いものです。
筆者は不勉強のため「半歌詞残し」作品をあまり知らないため、反証がありそうです。
もし他の作品でも見かけましたらぜひご一報下さりませ。

・下
目次アストロP
アストロPのダンス作品に見るシンクロの方法論

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